トガリアミガサタケMorchella conica Pers.
2007/03/31 三重県名張市産
 名張市のダム湖畔にある駐車場脇の半ばゴミ捨て場のようになった急斜面。大きな桜の木に菌根を作っているような感じで毎年この場所に頭を出している。普通のアミガサタケは、あちこちの桜の木の下で見られるのにトガリアミガサタケはこの場所でしか見たことがない。

 カバーグラスに落とした胞子を水を加えずにドライで観察してみると、胞子表面に明らかに細かい縦筋が見られた。はて、トガリアミガサタケの胞子に縦じわなんてあっただろうかと、あちこちの図鑑をひっくり返してみたが、そんな記述はどこにもない。何かまた面白いものを発見してしまった気分だ。

 カバーグラスの横から水を染み込ませると、図鑑の記述どおりの平滑な胞子ができあがる。

 子嚢に入っている状態の胞子は、ほんとうはどんな姿をしているのだろう。
 縦筋のある乾いた状態なのか、或いは細胞液に浸されて、この写真のように丸々と太っているのか? 
 金属顕微鏡のようなものを使い、水を加えない状態の子嚢を観察すると、もっと面白い発見があるかも知れない。

 メルツアー液を加えてみると、水封でも若干縦縞の見られるものがあった。
 でも、よく見るとこの縦縞が見える場所は=胞子にへこみが見られる場所なので、十分に水分を含んでいないからではないかと思われる。