持ち帰って真っ先に検鏡してみると、やはりそれらしき胞子が見られたので嬉しかった。
この属もかなり種類が多く、種の同定はとても難しそうである。
このページを見ていただいた兵庫県のトリフィさん(本名:M井さん)から、Hymenogaster属について初心者にも分かり易い解説のメールをいただいた。
とても分かり易くまとめられており、私一人が読むだけでは非常にもったいないので、以下にトリフィさんのメールの一部を引用させていただいた。
Hymenogaster属は、1831年に8種をもって新しく造られた属です。
グレバが空洞でゼラチン化せず、胞子が褐色など、似たような特徴を持ち、適当に配属される属が見当たらず、とりあえず一緒くたにされていた感じでした。
その後、似たような菌が続々と追加され膨れ上がってきました。アイゾメコツブタケも最初はHymenogasterでした。
しかし、地下生菌の属の概念が徐々に固まり足抜けする菌が出てきましたが、それでも大きな属でした。
1993年に、オーストラリアの学者さんが、最初の8種を再整理する試みをしました。
1種は標本が失われており、残りの7種を次のように分けました。
○胞子が平滑な種(=Hymenogaster luteus)
○胞子に縦模様の隆起がある種(Gautieria:シマショウロの仲間)(=Hymenogaster citrinus)
○胞子がデコボコした種(本家のHymenogaster:Hymenogaster buliardi)
○胞子表面に小さなイボが密集してハゲ頭が出ている種(Cortinomyces:ショッピングセンターの菌)
○胞子表面に小さなイボが密集してハゲ頭が無い種(Descomyces)
以上が本家と分家で、1831年以降に加わった種では、
○表面が網目状の種(Timgrovea:中国にもあるので、いつか日本でも見つかりそうな)や、
○曲がった寸詰まりのキュウリのような種(Quadrispora:オーストラリア産だが日本でも可能性あり)
が新家として別種に提案されています。
ただし、完全に世界の学会レベルで受け入れられているわけでなく、今のところオーストラリアとアメリカあたりまでです。
お酒を飲みながら資料も見ないでこれを書いたという博識のトリフィさん、どうもありがとうございました。
ちなみに、頭の中にあった引用文献は以下とのことです。
Bougher, N.L. and Castellano, M.A. 1993. Delimitation of Hymenogaster sensu stricto and four new segregate genera. Mycologia 85: 273-293.
(2004/10/16追記)
以上で「ショッピングセンターのきのこ」はおしまいです。