クルミタケ 三重県津市産(6月20日:A地点で採集)

 6月20日、またこの公園を歩いていたら、A地点に残してあったクルミタケのうち2個が転がり出ているのを発見した。
 持ち帰って割ってみると、子実層がかなり赤く色付いており、程良く成熟しているようであった。
 これまでに見てきたクルミタケは完熟とともに傷んでしまうものばかりだったので、このように全体が赤く色付いたクルミタケは始めて目にするものだ。

 拡大してみると、子実層の部分が赤く色付いていることが分かる。子実層の外面(空洞の内壁部)は側糸が突出しているものと思われるが、全く色付いていないのでかなり白っぽく見える。

 子実層の断面を顕微鏡で見ると、成熟した子嚢胞子がびっしりと並んでおり、どこを見ても子嚢の姿は見当たらない。やはり胞子の成熟とともに子嚢は消失してしまうようだ。

 胞子が成熟すると一列に並ぶことが多いのは、子嚢が消失することにより周りの細長い側糸に挟まれるためではないだろうか?しかし、もっと成熟するとその側糸さえも消失しているように見える。

 例によってピントをずらして撮影した3枚の画像を合成してみた。(顕微鏡の倍率は400倍)
 成熟したクルミタケの胞子は、タレのたっぷり付いた「みたらし団子」だと思えば良いだろう。

 これでほんとうにクルミタケの観察は終わりにしたい・・。