2004年1月2日(金)のきのこ

イボセイヨウショウロ(Tuber indicum Cooke et Massee)
 新春恒例(?)のトリュフ掘りに、きのこ仲間5人で行ってきた。

 昨年30個ほどのトリュフが見つかった場所は、その周辺も含めイノシシの掘り返した形跡は全くなかった。
 昨年発生していたポイントを中心に慎重に探索を開始したがトリュフはさっぱり見つからない。やはり「掘り返してしまうと出なくなる」という噂は本当のようである。30分ほど探索を続けたところで、やっと大型の個体を1個だけ見つけることができた(No,1の個体)。 長辺のサイズが6cmを超えており、このポイントで採取したものの中では最大である。発生量の少ない分大きく成長したのかも知れないと思った。
 このポイントのトリュフはもう十分観察できたので、しばらくは掘り返さずにそっとしておくことにした。(誰かが抜け駆けしなければの話であるが・・。)

 ここから10mほど尾根筋を下った場所で石灰岩の付近の苔がなんとなく不自然に盛り上がっているのが気になったので、マツタケを探す要領で探ってみたら小さなトリュフが転がり出た(No,2の個体)マツタケ探しで鍛えた(?)技術はまんざら捨てたものでもなかったのである。(^_^;
 これはクルミタケをひと回り大きくしたくらいのものであったが、強いトリュフ臭があり断面の様子もNo,1の個体とは少し違うもののように感じられた。
 持ち帰って顕微鏡で子嚢胞子を観察してみると、胞子の表面のトゲが規則正しく並んでおり、見方によっては網目があるようにも見える。やはりこれはNo,1の個体(イボセイヨウショウロ)とは別種としなければならないようだ。
 では、どの種に当たるのかというと、それはこれからのお楽しみなのである。

 これまでのトリュフ探索で感じているのは、やはりトリュフは中性〜アルカリ土壌が大好きで、やや湿気のある土壌を好むということである。
 ちなみに、土壌のphについては今回「土壌ph計」なるものを久しぶりに持ち出した。精度の方は定かではないが、No,1の地点がph6.2で微酸性土壌、No,2の地点はph5.5で酸性土壌という測定結果であった。
 この場所のトリュフは石灰岩に寄り添うように発生しているものが多かったので、アルカリ土壌が大好きなのかと思ったが、土壌phの測定結果ではそうでもないようである。

 このページをご覧頂いた「きのこ狂」の方で冬場はオフシーズンでつまらないなんて思われている方は、この時期にこそトリュフ探索やら海岸のケシボウズ探索を始めてみてはいかがだろうか? 冬場、雪に埋もれてしまう地域では難しいかも知れないが、意外と身近な公園などでもトリュフが見つかっているようである。
 べつに土を掘らなくても街中で出くわすトリュフだってある。(例1例2


 No,1のイボセイヨウショウロの名誉のために書いておくと、標本用に乾燥していたら今日あたりかなりトリュフ臭が出てきた。
 反対にNo,2の方は乾燥したら殆んど臭いが無くなってしまった。
                                          (2004/01/05追記)


 ph値について激しい勘違いをしていたので、記述を訂正しておいた。
 一般的には、ph=7が中性、それより値が低くなると酸性、高くなるとアルカリ性なのであった。(^_^;
 土壌に限ると、ph4.6未満が極強酸性土壌、4.6〜5.0強酸性土壌、5.0〜5.6酸性土壌、5.6〜6.0弱酸性土壌、pH6.0以上が微酸性土壌(中性土壌)と呼ばれるようである。
 ちなみにこの「ph」、今は「ペーハー」とは言わずに「ピーエッチ」と言うのが正しいのだそうだ。                                          (2004/01/12)




  掘り出して並べた写真  ( No,1の個体 )  発生環境  イボ  断面  表皮の断面  子嚢胞子
                 
( No,2の個体 )  発生環境  イボ  断面  表皮の断面  子嚢胞子